※前回の文とは繋がってはいませんが、夢繋がりということでこちらに置きました
跡部独白文

夢なんてものは有って無いようなものだ。

夢は無い。持つだけ無駄なものだ。夢を持とうが俺がこれから歩む道は決まっている。

野望はある。跡部財閥を継ぎ、さらに繁栄させること。それが俺の進むべき道であり目標。

”跡部”の家に生まれなければ俺は夢を持ったのだろうか。

幼少の頃より、跡部財閥の跡継ぎとして英才教育を受けてきた。
頂点に立つ為のあり方を学んだ。生まれながらにして上に立つべき人間。それが俺だ。

歩む人生が決まっているのならばその範囲内で出来うる限り充実させるだけだ。
人生のレールから外れる”夢”なんてものは持つだけ無駄だし邪魔だ。
夢の為にレールを曲げる事など出来ないのだから。

手に入れたいものが見えれば欲しくなる。だから夢など持たない。憧れなどいらない。
その代わりに俺は野望を持った。それは人生のレールからは外れない。
考え方によってはこれも夢と言えるのだろう。だが別に叶えたいなんてものではない。
別に跡部の家の為に跡部財閥を大きくしたいわけではない。・・・いや、その考えもないことはないが本質ではない。
家の繁栄などはどうでもいいのだ。今でも十分大きなグループなのだから現状維持でもことさら困ることもない。

だがそれではつまらないではないか。夢を持てない。好きに恋愛もできない。目標もない。

だからせめて決められた人生の中で達成できる最大限の目標を作った。それが家の繁栄。
すでに大会社の跡部財閥をさらに大きくするのはさぞかし骨の折れることだろう。
だが目標は大きければ大きい程やりがいもあるというものだ。

これは夢ではない。夢などという甘いものではない。待って得られるものではない。誰かに叶えてもらうものではない。自分でつかみ取るのだ。人はそれを目標や野望という。

俺は夢など持ってはいない。夢を野望に変えたのだから。